古びた商店街のアーケードからはSMAPの「世界にひとつだけの花」が流れている。
改札をぬけてあなたは息をきらしかけてきた。
「ごめん、ケーキを焼いてたの」
手には森英恵のハンカチーフに包まれたまだ温もりの残っているブランデーケーキが。
あれから1年が経ち、今年もバレンタインの季節がやってきた。
春一番の吹いたその日。駅には去年のわたしのように恋人を待つ人たちがいた。
あなたが二度と降りることのない駅には、あなたが聴いたこともない中島美嘉の「雪の華」が静かに流れている。
「寂しい」
と呟いたあなたの言葉さえも時は飲み込んで、この世のいっさいはただとうとうと流れてゆく。
冬の陽だまりの匂いとあなたの言葉の欠片(かけら)を拾いあつめて抱いてみる。
もうすぐいつものように、この駅にも夜のとばりがおりるだろう。
kage
Posted by kage at February 14, 2004 07:08 PM | TrackBack