March 07, 2004

さくら

駅のポスターの中で満開の桜がゆれていた。
あなたがいつか見たいと言った高遠の桜だった。
押し流されてゆく人波の中でそこだけが艶やかだった。
日常のうねりに身をまかせているうちに、また桜の季節が巡ってきた。

墓守の女将が言う。

「桜の花を見て旅立つ人は幸せですよ」

「西行ですか」

女将は少しはにかむように微笑んだ。

僕は向きなおって花を捧げた。
春、彼岸。どこかで子供の声がした。

Posted by kage at March 7, 2004 11:30 AM | TrackBack
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